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朝、窓を開けた瞬間に感じる風の匂いで、今日の天気を言い当てる人がいる
気象予報士・晴山紋音(はれやま あやね)は、数字やデータだけでなく、「空の声」を聴くように天気を読み取る予報士です。
テレビの向こうでは穏やかに微笑む彼女だが、その裏には、誰よりも空と真剣に向き合う情熱がある。

空を読む、そのまなざし

朝の情報番組でやさしく微笑む気象予報士、晴山紋音(はれやま あやね)

彼女の予報を聞くと、不思議と心が軽くなる。そう感じたことがある人も多い。

「天気は、ただのデータじゃないんです。

その日の空気や光、街の音まで含めて“今日という空”なんです」

まっすぐな目でそう語る彼女の声には、空の澄んだ色が宿っているようだった。

 

原点は、あの夏の虹

晴山紋音の気象への興味は、子どもの頃に見た一つの光景から始まっています。

「夕立のあと、家の前に虹が出たんです。雨がやんで、濡れた道がキラキラしてて……。

“空って怒ったり笑ったりするんだな”って思いました」

それ以来、空は彼女の「先生」になって行きました。

高校では気象クラブを設立し、大学では気象学を専攻。

どんなに忙しくても、空を見上げることを忘れなかったと言います。

 

データの向こうに、人の暮らしがある

テレビのスタジオでは、常に複雑な気象データやシミュレーション結果と向き合う日々。

しかし晴山さんが目指すのは、“数字の正確さ”だけではない。

「傘を持つかどうかで、その人の一日が変わる。

だから私は、“暮らしの予報”を届けたいと思っています」

たとえば、雨の日には“おうち時間を楽しむ”ヒントを。

そして、風の強い日には“背筋を伸ばして歩く勇気”を。

彼女の予報には、いつも小さな前向きさが添えられている。

「言葉に、温度をのせたい」

テレビを通して伝わるのは、気象情報だけではない。

晴山さんの柔らかな口調、ふとした間の取り方にも“あたたかさ”が感じられます。

「伝える言葉には、必ず温度があると思うんです。

同じ“雨です”でも、心を冷やす雨もあれば、優しく包む雨もある」

そう語る彼女の原稿には、視聴者を思うメモが小さく書き添えられている。

“今日は冷たい雨。あたたかい飲み物を添えて”——そんなひと言が、誰かの朝を

やわらかく照らしている。

 

空のその先へ

今や、AIや自動予報が進む時代です。

それでも晴山さんは、“人の感性で伝える天気”の価値を信じている。

「正確さだけなら、コンピューターに任せればいい。

でも、“どう受け取るか”までは、人が伝えなきゃ届かない」

取材の最後、彼女は窓の外を見上げた。

曇り空のすき間から、光が一筋だけ差し込んでいた。

「空って、どんな日もちゃんと光を持ってるんですよ」

 

晴山紋音という人

気象予報士として、空の動きを読む。

ひとりの表現者として、人の心に寄り添う。

晴山紋音の“予報”は、ただの天気情報ではなく、

**「今日を少し好きになるための言葉」**でもある。

明日の空がどんな表情を見せても、きっと彼女の声がそっと背中を押してくれるでしょう。

 

特集:空と生きる人

プロフイール

名前 晴山紋音(はれやま・あやね)
生年月日 1995年4月14日(30歳)
出身地 岩手県
高等学校 東京都立青山高等学校卒業
大学 慶應義塾大学経済学部卒業
所属事務所 ウエザーマップ
活動期間 2018年-
ジャンル 気象予報士
出演番組 NHK総合『NHKニュース7』(平日版)2022年4月-
出演番組 広島ホームテレビ (2019年4月1日 – 2022年4月1日)

大学3年生の時に気象予報士の試験に合格し、2018年に登録しています。

その他は日本漢字能力検定準1級、ニュース時事能力検定2級を所持しています。

広島県「みんなで減災」推進大使を県内のテレビ番組に出演する予報士や

キャスターと共に務めました。

慶應義塾大学経済学部に入学。気象学を専攻後、気象予報士、防災士の資格を

取得しました。その後民間気象会社を経てテレビ局の専属予報士として活動。

明るく柔らかな語り口と“心に寄り添う天気予報”で人気を集めました。

趣味は散歩と写真撮影。彼女の好きな空は「雨上がりの夕暮れ」です。

 

インタビュー

Q:まず、気象予報士を目指したきっかけを教えてください。

晴山紋音:
小さい頃、夕立のあとに見た大きな虹がきっかけです。
雨がやんだ瞬間、空が一気に明るくなって、虹がかかったんです。
そのとき“空って、怒ったり笑ったりするんだな”って思いました。
それが不思議で、もっと空を知りたくなって。
気づいたら、ずっと天気を追いかけていましたね。

 

Q:実際に気象予報士として働いてみて、一番大切にしていることは?

晴山紋音:
「数字の向こうに人がいる」っていうことです。
天気予報って、データや数式の積み重ねなんですけど、その結果を受け取るのは“生活する人”。
たとえば「雨が降る」と言うだけで、その人が傘を持つか、出かける気をなくすか、気分が変わる。
だから、「どう伝えるか」も予報の一部だと思っています。

 

Q:なるほど。晴山さんの予報は言葉がやさしいと評判です。意識していることはありますか?

晴山紋音:
うれしいです。
私は、「言葉に温度をのせる」ことを意識しています。
“冷たい雨です”と言うと心まで冷えるけど、“静かに降る雨です”と言えば、少し穏やかに感じるかもしれない。
同じ事実でも、言葉ひとつで世界の見え方が変わる。
だから私は、天気を“伝える”というより、“寄り添う”つもりで話しています。

 

Q:天気を通して、人の心を動かすこともあるんですね。

晴山紋音:
はい。
天気って、人の気分とすごく似てるんですよ。
晴れの日もあれば、嵐の日もある。
でも、どんな空にもちゃんと光はあるんです。
“今日は曇りだからダメ”じゃなくて、“曇りの日も悪くないな”って思えるような予報がしたい。
そんなふうに、気象を通して“心の天気”も晴らせたらいいなって思っています。

 

Q:番組での晴山さんはいつも落ち着いて見えます。緊張したり、迷ったりすることはありませんか?

晴山紋音:
もちろんあります(笑)。
生放送のときは特に。でも、そんなときは必ず窓の外を見ます。
空って、不思議と“だいじょうぶだよ”って言ってくれる気がするんです。
雲が動いているのを見ると、「止まっているものなんてない」って思えて、少し気持ちが軽くなります。

 

Q:AIや自動予測が進む中で、人の気象予報士にできることとは?

晴山紋音:
AIは本当にすごいです。精度もスピードも、人間にはかなわない。
でも、“人の言葉で伝える”ことは、AIにはできないと思います。
天気って、単なる数値じゃなくて「今日をどう生きるか」に関わるもの。
だからこそ、これからの時代ほど“心を運ぶ予報士”でありたいです。

 

Q:最後に、読者に向けて一言お願いします。

晴山紋音:
どんな空にも、意味があります。
雨の日は立ち止まる時間、風の日は深呼吸のチャンス。
晴れの日だけじゃなく、すべての空が“あなたの味方”なんです。
今日の空を、少しだけ見上げてみてください。
きっと、何かやさしいことを思い出せますよ。

 

まとめ

晴山紋音は、空を読む人であり、空を伝える人です。

気象予報士という仕事を通して、彼女は人々の心に小さな晴れ間を届け続けています。

明日の天気を気にするとき、ふと彼女の声が思い出されるかもしれない。

——「今日の空も、あなたの味方ですよ。」